言語聴覚士ならではの悩み

言語聴覚士は、聞く、話す、安全に飲み込んで食べることに障害を抱える人を支えるリハビリテーションの専門職です。しかし、言語聴覚士ならではの悩みもあります。

リハビリを行う上で最も大切なのは、患者との信頼関係です。患者は、不安や時には苛立ちを感じている人も多く、ストレスを抱えています。そのため、中々心を開いてくれず、時にはリハビリを拒否したり、怒りをぶつけてくることもあります。こうした関係が続けば当然リハビリを行う方も心が折れたり、担当している患者に苦手意識を持ってしまい、さらに関係が悪化する可能性もあるでしょう。

また、医学的な知識は常に新しくなっていきます。一度勉強しているから大丈夫だということはなく、常に学び続ける必要があります。勉強会の場が提供されていても、言語聴覚士としての仕事をこなしながら勉強の時間を確保するのは大変です。他にも、学んできた知識や治療ですべての患者に対応することは困難です。正解がないため、思うような成果が出ず、悩むこともあるでしょう。

また、チーム医療において、専門性が高い言語聴覚士は、何か相談事があっても同じ言語聴覚士同士でないと相談しにくいこともあります。そのため、言語聴覚士が少ない職場の場合は、孤独を感じることもあるかもしれません。

他にも、摂食嚥下などの評価やリハビリでは、肺炎を起こす場合もあります。状態が低下したり、今後口から物を食べることができなくなったり、場合によっては生死に関わる問題になる可能性もあるなど、責任の重さに悩む人もいます。